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『ものすごく うるさくて ありえないほど ちかい』

映画は一人で見る方が良い。
アクション映画などなら、見終わった後に、あの俳優さん毛深かったねー、と互いに確認し合うのも良い。しかしそれ以外のジャンルでは、一人で見る方が良い。



感動は自分一人の揺らぎに任せるのが良い。



何人かで見終わった後に、誰か一人が、ねー、あれ意味分かんなかったねー、とでも言い出そうものなら、オシマイである。それまで好きに揺れていた振り子が、隣の乱暴な鉄球にぶつかってそれと似た運動を始める。感じていたことも、考えていたことも、そして考えようとしていたことも全て、死んでしまう。(もちろんこれは映画に限った話ではないけれども。)



この映画は、今まで見た中で一番心打たれた作品だった。勿論それぞれの作品を見たときの条件はバラバラだし、容易に比べることは出来ないが、普段映画館で人間観察をしている僕はこれを見ながら二度号泣した。うち一度は声が漏れそうだった。



今年は、素晴らしい映画に沢山出会えたと自信を持って言える。そこで「素晴らしい」とは何だろうと考えたとき、それらの作品の共通項として、「救い」という要素が浮かび上がる。



少し前、何かに悩んでいるかしていた時に、友人にかけられた言葉がある。



「自分が今悩んでいるようなことは、過去にも必ず誰かが悩んだはず。本を読め。その悩みの過程や結論は、必ずどこかで本になっているはずだ」



心がスッと軽くなるのが分かった。人間が考えうることなど、とうの昔に考え尽くされているのだ。どんな苦悩であっても、もはや一人ではない。受け継がれた莫大な記録のどこかに、必ず自分と同じ境遇の人間がいるのである。


前述した「救い」とは、「自分一人ではない」、そう思えることを指している。それは自分を肯定することだ。上の友人の言葉は、勿論そのまま、映画にも当てはまる。そういった視点を持って作品を見ることは、きっと意義深い体験になるはずだ。




この作品は、人間を肯定する映画であった。全てを優しく包み込んで、次の段階へと押し上げてくれる映画であった。規定の鑑賞料を払い、二時間を割くことは、小さすぎる代償に思う。この作品は、生涯に渡っての大きな投資となり、財産となることを確信しているし、保証できる。





(ここで本題終わり)



最後に勝手ながら、上に書いたような点で、傑作だと思われた映画をリストアップしておきます(順不同)。


クラッシュ
まほろ駅前多田便利軒
ツリー・オブ・ライフ
ディア・ハンター
ニュー・シネマ・パラダイス
パリ、テキサス
リトル・ミス・サンシャイン
ロスト・イン・トランスレーション
生きる(黒澤明監督)
学校
プール
コクリコ坂から



(Kid M)

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